【1000字課題】講談社、iPhoneでの文芸書の提供を解禁(857字)

作家・小田実が2007年7月に永眠した後、多くの著作が絶版となっていたが、この作家の全小説32篇と主要な評論32篇を収録する電子書籍版の全集「小田実全集」が講談社の企画・発行でリリースされた。

 絶版になっていた本を、電子書籍という形で復活させるという事は、とても望ましいことだと思った。絶版になっている本を復活させるときに、書籍で復活させるときは、リスクが高くなるだろう。絶版となるという事は、必要としている人が少ないと考えられるからである。ベストセラーの本は、求める人も多いため、そもそも絶版にならずに残り続け、何十年も読まれ続けるだろう。そう考えたときに、絶版になった本を、もう一度出版するよりも、新しい本を出版する方が確実に収入が得られる。そして、復活させることは、出版社にとって不利益であり、リスクになる可能性もある。
 そこで、一番良い方法は、電子書籍である。電子書籍ならば、一度データ化すれば後は、欲しいと思うユーザにダウンロードしてもらうだけである。そして、売上ではなく、自社の広告だと考えれば、出版社にとっても読者にとっても良いだろう。
 集団と個の関係を考えたときに、書籍などは個であるように思う。どういう事かというと、芸術とも言える、文学や音楽などは、個人の好みにあったものが好かれるため、集団をターゲットにしたものではない。むしろ、個人が、作品に引き寄せられるような物ではないかと考えたのである。そうしたときに、社会一般的に好まれている作品だけを残し続けるのではなく、どれだけ少しの人であっても、好きな人がいるのなら残すべきであると思った。
 利益を考えると、どうしても人が多い方に傾いてしまうため、少ない集団はサービスの対象から排除されてしまう。これはどんなことにも言えると思う。大きく考えると、政治や行政サービスなどであり、身近なところで考えると、授業の成績判定方法などがあるだろう。
 電子化によって、これまでの物理的なサービスだけではなくなってきている。そして、その電子化を最大限活用できるデバイスも出てきているので、今までとは違う新しいサービスの在り方を考えることもできるのではないだろうか。今の企業がこれからもっと、少ない集団や個に対するサービスも提供していけるようになって欲しいと思った。
 

コメント

  • 書籍という紙媒体と電子媒体の両方を使いこなせるようになりたいです。また、片方が消えてしまったりするのではなく、両方を使えるような世の中になっていったらいいなと思います。